第32章

「買い出し」

大島莉理の知る限り、あのジジイの家に野菜なんて100%ない。

岩崎晴翔はそれを聞いて、ようやく肩の力を抜いた。

「おいおい、お嬢ちゃん……心臓止まるかと思ったぞ?」

大島莉理は振り返り、どこか呆れたように言う。

「その歳で嘘ついて人をだますなんて、真似できません。私、昔から拗ねたりしないんです」

岩崎晴翔は面目が立たず、むっと唇を尖らせた。

「そりゃお前が俺んとこ来ないからだろ!」

追い詰められて、他に手がなかっただけだ。

大島莉理は少し黙り、それから岩崎晴翔の腕を取って車に乗せた。

「先に車で帰っててください。私、モールで食材買ってきます。あとで腕前、味見...

ログインして続きを読む